子どもの初めての英語はフォニックスで読み・書き・発音の土台を作ろう

子ども向けのアルファベットを散りばめた画像

おそらく、英語で苦労したことがある人なら誰でも、「子どもが小さいうちに英語を身につけておけば、はるかに少ない労力で済むんじゃないか」と考えたことがあるのではないでしょうか。

小さい子どもが言語を獲得するプロセスは、大人とは違い、自然にどんどん吸収していって、とても速いですよね。幼い頃から二か国語以上の環境で育った人たちは、比較的容易に言語を習得しているようで、羨ましい限りです。

子どもには英語で苦労させたくないけれど・・・

先にやっておいたほうが忙しい時期を有意義に過ごせる

私は、高校卒業まで日本で過ごした後にアメリカの大学に留学したのですが、英語を母国語とするアメリカ人と比べ、大学の勉強のほかに、英語に膨大なエネルギーと時間を取られ、この労力が大変でした。

外国語を勉強していると、よく「頭の中で翻訳せずにその言語で考えましょう」ということが言われますが、日本で育った私が英語でそれをすると、大学生なのに考えられることが小学生、しかも低学年のようなレベルでした。大学卒業時には専門的な部分だけは大学生レベル、それ以外は小学校高学年か中学生くらいのレベルにはなったとは思いますが、今振り返ると、もっともっと英語力が欲しかったです。

アメリカの大学生活はアメリカ人でも勉強漬けの毎日とはいえ、一人で英語に費やした時間とエネルギーをもっと有意義なこと、たとえば新しい世界に飛び込んだり、友達と一緒に過ごす時間にあてたりと、外での様々な経験に使えればよかったなと思います。それに、学生のうちにこまめに将来設計を見直す時間の余裕も欲しかったです。

バイリンガル教育の賛否に迷う

そんな私ですが、子どもが生まれてからは、子どもに英語で苦労させたくないと思いつつ、賛否両論ある英語の早期教育に積極的になってよいのか判断出来かねていました。結局は、日本で生活するからには日本語の基礎をしっかりと築き、母国語で考える力を育てることが最優先という考えに落ち着き、そこに基準を置きました。

とはいえ、一生に一度しかない、幼児期限定の言語習得のゴールデンタイムに何もしないのももったいなく思え、時間だけが過ぎていく焦りと、本当にこれでいいのかという迷いがありました。

そんな状況で、落としどころとしては、日本語を母国語、英語を外国語として、子どもが興味を持つ範囲で小さいうちから英語に親しませていこうというスタンスになりました。

我が家での取り組み

家では英語の絵カードなどを使い、遊びの中に英語を取り入れるようにしたところ、子どもは英語に興味津々。どんどん吸収していき、「もっとやりたい」と言って英語を覚えたがっていたので、そんなに好きなら好きなだけやらせてあげようという気持ちになりました。

具体的には、DVD教材、絵本、多読用のリーダー、音声ペン、YouTubeなど、色々と試してみました。これらの中で、当初、いま一つ効果を得るのが難しく感じたのは、DVD教材と音声ペンでした。

手ごたえを感じにくかったもの

最初にやるにはレベルが高すぎた

まず、私が買ったDVD教材は、初めて英語に触れる子供にはレベルが高かったように思います。簡単すぎるくらいのレベルから徐々にステップアップしていくものを想定していましたが、いきなり最初から英語をペラペラとしゃべるのを視聴するというものだったので、それだけでは英語がしゃべれるようになるとは思いませんでした。

ただ、子どもにとって、日本語以外に英語を話す人たちがいることを知り、英語の歌や映像を楽しみ、英語に興味を持つきっかけにはなりました。

なお、子どもがもっとレベルアップしてからDVDに戻ってきてもよいかなとは思います。

【後日追記】ひと通りフォニックスなどを習得した後に、子どもがこのDVDを観たがるので視聴させてみたところ、最初よりもスムーズに習得できるようになっていました。好きなときに繰り返し観られるので便利ですし、実際に何度も繰り返し観ることで覚えていったので、時期や習得の段階が合っていれば効果的な方法のようです。

親が続けるのが難しかった

音声ペンは子どもには好評でした。音声ペンとは、付属のシールを絵本の各ページに貼るか、音声情報が元々印刷されており、ペン先をページにあてるとCDのように音源が再生されるものです。

個人的に、音声のmp3ファイルをページや文章ごとに分割する作業と、一枚一枚のシールに音声を紐づけていく作業がとても面倒でした。子どもはお気に入りの本を持ってきては、「シールを貼って~」とお願いしてくるのですが、大変なので私が続けられず、効果が限定的でした。

このような作業を厭わなければ、音声ペンは好評だったので効果的な方法かもしれません。また、商品によっては元から音声が入ったものもありますし、シールを貼るだけでよい商品もあるようなので、そういったものに出会えたらぜひまた利用してみたいと思います。

英語の習い始めにやってよかったもの

やはり、子どもが気に入って、楽しんでやったものが一番効果があったように思います。具体的には、紙の絵本(フォニックスやサイトワードの本、レベル別リーダーなど)、YouTube(ネイティブの口元を観られるものが理想ですが、この段階では英語に興味を持てればアニメでもOKとしました)、そして後述のOxford Reading Clubというサービスでした。

英語を学ぶ最初の段階では、これらを用いてフォニックスやサイトワードを取り入れてみたところ、子どもはとても楽しみながら英語を覚えていきました。

英語を習い始めの子供にはフォニックスがおすすめ

親の負担、続けやすさ、効果(本当に英語を習得できるのか)をふまえ、英語学習の初期の段階でおすすめなのは、YouTubeなどを活用しながら、Oxford Reading Clubでフォニックスを学ぶことです。

フォニックスとは

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フォニックスは、文字、音、単語の関係を理解させることで子供に読み方を教える方法です。元々は英語を母国語とする子どもたちに人気の教育法でしたが、子どもたちの読み、書き、発音を上達させるのにとても有用なことから、外国語として英語を学ぶ子どもたちにも使われることが多くなっています。

フォニックスとは

英語は、アルファベット26文字で42種類ほどの音を作ります。フォニックスでは、catの/a/のように個々の文字にそのまま対応する音と、bearの/ear/のように文字の組合せに対応する音を識別できるようにしていきます。

子どもたちは、h+a+t = hat のように音を組み合わせて単語を発音することを学び、book = b+oo+k のように単語を個々の音に分けて綴り(スペリング)にする方法を学びます。

フォニックスを土台にして、子どもたちは初めて知る単語や、複雑な単語を自分で発音し、綴り、読めるようになります。

※参照:How to use Ladybird Readers (“Phonics in English Language Teaching”)

最初にフォニックスをおすすめする理由

アルファベットを知らなくても始められる

「アルファベットさえ知っていれば始められる」と言いたいところですが、考えてみると、アルファベットを知っている必要すらなく始めることができます。

フォニックスの最初の段階ではアルファベットを1文字ずつ学びます。この部分は、YouTubeのフォニックス動画がとても得意で、子どもが飽きることなく、アルファベットのそれぞれの発音と代表的な単語を覚えられます。

その先は、アルファベットを組み合わせた「かたまり」で学んでいくことになり、難しくなるので、学術的な面だけでなく、楽しさや使いやすさも含め、よく研究された、専門的な教材がおすすめです。

発音は年齢が低いほど有利

年齢の低さの最大のメリットは耳が良いことです。このことは実際に、私(地方出身者)のしゃべる微妙になまった標準語を、子どもが高い精度で絶妙にコピーできるのを耳にして実感しました。私自身は正しい発音でしゃべっているつもりだったのですが、子どもが私そっくりにしゃべるのを聞いて、自分がなまっていることに気づいたくらいです。

このような、子どもの持つすごい能力をもっと有意義なことに使って欲しく、それであれば大人には難しい英語の発音をマスターして欲しいと思いました。

子どもにとって楽しい

フォニックスは、高度な思考能力などは必要なく、遊びの延長のような感覚で子どもが楽しんで学ぶことができます。日本語と異なり、英語は文字の通りに発音しない点がとても難しいですよね。子どもの頭は柔軟なので、英語の発音に「なんでだろう?」と思うことがあっても、そのまま次々と覚えてしまいます。

英語学習のあらゆる土台になる

先述のように、フォニックスは英語の読み、書き、会話の基礎になります。従来の中学・高校英語のように、必ずしもフォニックスをやる必要はありませんが、子どもが小さいうちに楽しみながら、しっかりとした土台を作れたらとても良いのではないかと思います。

フォニックスの学び方

Oxford Reading Club

Oxford Reading Clubは、イギリスのOxford University Press社(オックスフォード大学出版局)が提供する英語学習者向けのオンラインサービスで、同社から出版されている様々なレベルの本1021冊が読み放題なうえ、ほとんどの本に音声、クイズ、録音などの機能が付いており、遊び感覚で始めることができます。低いレベルのシリーズにはフォニックスに特化したものもあり、楽しみながら発音の仕組みや単語を覚えられます。

ちなみに、イギリスの小学校の80%以上で国語の教科書として使われており、日本でも人気があるOxford Reading Treeも収載されており、質の高い本場の英語に触れることができます。

YouTube

YouTubeでは「phonics」などのキーワードで検索して、表示された動画の中から子どもが見たいものを見せてあげました。幼少時のデジタル教材(中でもYouTube)の利用には賛否あるので利用すべきか迷いましたが、我が家では視聴時間と本数を、〇分または2本の短い方のように限定したうえで5歳頃から利用することにしました。

アルファベット1文字(a、b、cなど)の単純なフォニックスに向いており、前述のOxford Reading Clubとの組み合わせで、子どもはフォニックスの手法に親しんでいきました。

YouTubeにはまってしまうことも心配していましたが、「phonics」の動画しか表示されないので、すぐに物足りなくなり、次のステップへと移行してからは、たまに思い出したかのように単発で少し観る程度でした。

フォニックスの次に何をする?

1.絵本やレベル別リーダーで英語のインプットを増やそう

フォニックスの手法である程度、英語の土台が出来てきたら、サイトワードを中心にインプットをしていくのがおすすめです。インプットなしでアウトプットすることはできないので、簡単な幼児向けの絵本、レベル別リーダーなどを活用して、簡単なレベルから順に英語に触れていきましょう。

2.年齢が低いうちに発音を磨こう

また、同時に英語の発音のブラッシュアップもおすすめです。日本語にはない母音の聞き分けなど、やはり年齢が低いほうが有利です。聞き取りだけでなく、話す際にはなおさら発音が良いに越したことはないですし、最初からなるべく正確な発音を身につけたほうが、後でやり直ししなくて済みます。

3.実際に英語を使ってアウトプットをしよう

そして、ある程度インプットができたら、次はどんどんアウトプットしていきましょう。使わないと、ずっと使えないままですし、使うのに勇気がいるようになってしまうので、こまめに英語を使っていきましょう。

アウトプットは特に会話に限る必要はなく、文字を書ける年齢であれば、まずは単語や文章を書いてみることも立派なアウトプットです。話し相手がいなくても、いつでもどこでもできるのでハードルが低いのではないでしょうか。